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2018年6月 3日 (日)

ながい坂下巻

『ながい坂』下巻では藩の秘密が明かされる。確かに藩にとって重大な問題であり、時代小説では暗闘が起きておかしくない問題である。ところが、本作品は生きることの目的を問うような深淵なテーマを抱えているため、必死に隠されてきた秘密がつまらないもののように感じられる。
主人公は改革前の腐れ縁の政治の方が領内を豊かにしていたと語る(139頁)。この改革は御新政と表現されている。まるで明治維新後の混乱と疲弊を先取りしたようである。
一方で古いしがらみに叩かれ、苦しめられた側としては、やはり改革を志向したい。そのような立場からは主人公と旧勢力の特権商人が共闘する展開は萎える。特権商人も代替わりし、親世代とは異なる価値観の子どもが登場したことは救いである。主人公も「元に戻すのではなく、新しい一歩を踏み出すこと」と位置付ける(368頁)。

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