2018年8月16日 (木)

不撓不屈

高杉良『不撓不屈』は国家権力と断固闘った飯塚毅・税理士の物語である。官僚の横暴や傲慢がこれでもかと描かれる。自分達の面子しか考えない公務員のいやらしさが描かれる。戦後昭和の官僚主導経済を成功モデルのように見る向きもいるが、官僚に潰された人々もいただろう。その意味で昭和は良かったとはとても言えない。むしろ官僚主導経済を批判する新自由主義に個人の解放につながる要素がある。飯塚も外資をクライアントとしていた。
飯塚は論語の里仁編の「悪衣悪食を恥じる者は、ともにはかるにたらざるなり」を好む(123頁)。この悪は悪いという意味ではなく、粗末なという意味である。価格と品質が比例すると考える浅ましい拝金主義の対極にある。

2018年8月14日 (火)

ランクA病院の愉悦

『ランクA病院の愉悦』は『ガンコロリン』を改題した文庫本である。「ランクA病院の愉悦」は医療格差が進む近未来の日本を描く。病院はランクA、ランクB、ランクCと料金によって分けられる。ランクC病院は人工知能による診断しかしない。この人工知能も近年話題の機械学習のレベルではなく、if文で実装する単純なレベルである。低所得者は、このランクC病院しか事実上受診できない。格差社会のディストピアを描く作品と想像したが、違った。
後書きで以下のように書いている。「いいものをいじり回してダメにしてしまうのは官僚の習い性だ。官僚の意識には、病で苦しむ患者を救おうという、一番大切な気持ちがすっぽり欠けているように思えてならない」(237頁)

デュー・ブレーカー

エドヴィージ・ダンティカ著、山本伸訳『デュー・ブレーカー』(五月書房新社、2018年)はハイチ系アメリカ人によるオムニバス的な小説である。独裁政権がもたらした傷を描く。タイトルのデュー・ブレーカーは秘密警察の拷問執行人である。独裁政権下のハイチではデュー・ブレーカーが任意に市民を逮捕、連行し、拷問を加えることが横行していた。
国家権力の横暴から人身の自由を保障することがマグナ・カルタ以来の人権思想の肝であると再確認した。法の適正手続きを意味する言葉にデュー・プロセスがある。デュー・ブレーカーと似ているが、落差がある。
警察の手口はどこも似ている。「最初不愉快にさせておいて、あとで優しくする。そうすれば男は感謝され、いい人だと思ってもらえる」(235頁)
被害者の苦しみ、怒り、絶望は大きい。

2018年8月12日 (日)

桶川ストーカー殺人事件・遺言

清水潔『桶川ストーカー殺人事件・遺言』は桶川ストーカー殺人事件を取り上げた犯罪ノンフィクションである。一人の週刊誌記者が、殺人犯を捜し当て、警察の腐敗を暴く。
桶川ストーカー殺人事件は1999年にJR高崎線桶川駅で発生した女子大生刺殺事件である。警察の杜撰な対応や嘘によって被害者や家族が心痛に苦しむことになる。
埼玉県警察の不祥事であり、全国的に警察批判が起きた事件である。そのために本書は埼玉県さいたま市浦和区の須原屋でポップ広告でプッシュされていた。埼玉県警の不祥事であり、埼玉県民ならば読むべしと。
この事件はストーカー規制法成立の端緒となったことで知られている。しかし、典型的な個人によるストーカー犯罪とは様相が異なる。集団的な嫌がらせ、攻撃である。後に社会問題になる半グレ集団の犯罪に重なる。

須原屋の隣の、いきなりステーキ浦和店では行列ができていました。

鉄腕バーディー

ゆうきまさみ『鉄腕バーディー』(BIRDY THE MIGHTY)はSF漫画である。
第3巻は、悪徳刑事の嫌らしさ、陰湿さが描かれる。悪徳刑事は見込み捜査で犯人扱いし、市民生活を破壊する。著者は『機動警察パトレイバー』で警察の仕事は弱い者いじめと少年に評させただけのことはある。
悪徳刑事の強引さは警察組織の認めたものではなく、内部から批判されているが、押し止めることはできていない。現実の警察不祥事で内部統制が働いていないことと重なる。既に指摘されているように警察を取り締まる機関が必要である。
この悪徳刑事は因果応報の目に遭う。悪徳刑事の人格は因果応報の目に遭うが、もっと嫌らしい存在になる。そのために主人公らの苦しみは続きそうである。

2018年8月11日 (土)

ビジョンとミッション

ビジョン
自己決定権を何よりも尊重します。だまされること、望まないことや嫌なことを強いられることのない自由な社会にします。
これは隣地建て替えという不利益事実を隠して新築マンションをだまし売りされた被害経験が原点です。

ミッション
最適と考える解決策を押し付ける画一的な姿勢ではなく、複数の選択肢を選択できるようにします。
そして適切な選択ができるようにデメリットも含めた情報公開、説明責任を徹底します。

2018年8月 9日 (木)

システムキッチンに

茶室はいじっていない。いじっていないものに、夢がかなったはない。
夢は茶室が一階にあり、露地から入れること。
階段は緩やかになっていない。
システムキッチンに250万円をかけた。領収書を出す。

2018年8月 8日 (水)

琉球のユウナ

『琉球のユウナ』は島津侵攻以前の琉球王国黄金時代を舞台とした歴史ファンタジー漫画である。主人公は赤い髪の少女で、不思議な力を持っている。
島津侵攻以前の琉球王国という点がユニークである。琉球王国を舞台とした作品の多くは『琉球の風』のように島津侵攻や『テンペスト』のような琉球処分の時代が多い。琉球の苦しみに寄り添った作品でも、日本がなければ話が進まないものである。

2018年8月 6日 (月)

絶滅の人類史の書評

本書は冷徹な現実を指摘する。椅子取りゲームのように人類が増えれば、その分、他の生物の生存圏が減る。その結果、絶滅する種も出てくる。このように意図はなくても相手を害してしまうことはある。高層マンションばかりとなり、戸建て住民が物理的に追い出される訳ではないが、住環境が悪化し、出ていくことと似ている。

2018年8月 4日 (土)

絶滅の人類史

『絶滅の人類史』は人類という種の誕生の歴史を明らかにする新書である。
本書の学問スタンスが勉強になる。筋が通った説明というだけではダメであると何度も繰り返される。筋が通った説明は必要条件を満たしても、十分条件を満たすとは限らないためである。この点は日本の警察の見込み捜査と対照的である。見込み捜査は彼には動機がある、だから犯人であると決めつけ、自白を強要する。

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