2012年5月27日 (日)

報道の脳死:書評

マスメディアは権力の手先という陰謀論的な見方がある。これに対して『報道の脳死』の分析は、もっと絶望的である。主体的に権力の手先になっているというよりも、無能や怠惰によって権力の手先として機能している姿が浮かび上がる。ネット上では悪の枢軸であるかのようにマスメディアを憎む声があるが、実際は全力を傾けて憎むほどの価値もない卑小な存在である。それでもマスメディアが一定の社会的な影響力を持っていることは事実であり、問題は批判しなければならない。ここに絶望がある。叩くべき敵は強大であって欲しいものである。敵ながら天晴れというべき点があって欲しいと思いたい。その願望が強まって事実を曲げると陰謀論がたくましくなり、敵勢力が妄想される。
本書の計画停電への批判は鋭い。当初は輪番停電と呼ばれていたが、いつの間にか使われなくなったという言葉の変遷にも注目する。実際、都心部が停電しないなど輪番ではなかった。しかも、区部でもない武蔵野市が政令指定都市を差し置いて停電対象から外れるなど、不公平なものであった。林田力

2012年5月26日 (土)

東急大井町線ガード下住民追い出しは居住の権利侵害

お手紙拝読しました。東京急行電鉄(東急電鉄)の東急大井町線高架下住民追い出しを居住の権利侵害と位置付けることは適切です。住民にとって生活や生業の場であり、賃借権の相場を下に立ち退き料を幾らか払えば済むという話ではありません。そのような土俵での議論にしてしまうことが根本的な誤りです。住民には生活保障が必要です。その思想的バックボーンとなるものが居住の権利であり、人権です。
居住の権利への注目は運動論的にも意義があります。居住の権利や住まいの人権を掲げた運動があり、活発に活動しています。以前紹介した住まいの貧困に取り組むネットワークも、その一つです。悪質なゼロゼロ物件業社の宅建業法違反を告発し、東京都が業務停止処分としました。そのような運動との連携も考えられます。
引用は阪神大震災を背景としています。被災地に強引に再開発ビルを建設し、昔ながらの住民が追い出され、再開発ビルに入居した商店主も借金だらけで夜逃げするという悲劇が起きています。東急不動産は東日本大震災でも復興支援をしていますが、被災地を搾取することになるのではと懸念されます。住民不在の再開発は二子玉川RIZEにも重なります。林田力

『美男ですね』第4話、藤ケ谷太輔が抑制された演技で切なさを表現

TBS系の金曜ドラマ『美男ですね』の第4話「告白!!届け…切ない片想い」が8月5日に放送された。桂木廉(玉森裕太)への桜庭美男(瀧本美織)の想いが深まっていく今回であったが、藤城柊を演じる藤ケ谷太輔が優しい男性の報われない優しさで存在感を発揮した。
『美男ですね』は韓国の人気ドラマの日本リメイク版で、今回も韓国版通りの展開が進む。美男と廉の相部屋の一夜、二人での親の墓参り、NANA(小嶋陽菜)をエスコートするマネージャー、ソロ曲のレコーディングで想いが溢れるシーンなど韓国版の名シーンが目白押しである。
惜しむべきは短縮しているために韓国版の味が十分に出せていない点である。たとえば廉が豚に追いかけられるシーンがある。韓国版では田舎でスターが骨休めをしている中での出来事で、のどかな直前との好対照が笑いを大きくする。これに対して日本版では豚の襲撃が唐突で、廉が間抜けに映る。豚に追いかけられる廉の描写も韓国版以上にコミカルであった。
日本版の廉はビッグになるには足りないものがある発展途上の存在に設定変更されており、カリスマ的な韓国版のファン・テギョン(チャン・グンソク)のファンには違和感がある。その中で今回は韓国版のカン・シヌ(チョン・ヨンファ)に相当する柊が味を出していた。柊は早い段階で美男が女性であることに気付くが、誰にも言わずに守り続ける。美男に惹かれていくが、美男には優しい兄貴分としい思われていない損な役回りである。
美男が廉に惹かれつつあることを知りつつも、柊はアプローチを続ける。廉とNANAの交際に動揺する美男には「廉のファンだから動揺する」と説明し、「ファンならば幸せを願わないと」と諭す。美男が廉の部屋で寝る時も「困ったことがあれば何でも俺に言えよ」と言った。それでも柊の気持ちは報いられない。叔母の家に宿泊した美男を迎えに行くが、廉が迎えに来ることを期待していた美男は柊を見て立ちすくむ。「廉かと思った?」と尋ねる柊が寂しげであった。
前々クールの連続ドラマ『美咲ナンバーワン!!』で喧嘩っ早い男子高校生を演じたばかりの藤ケ谷太輔であるが、『美男ですね』では抑制された演技で柊の人柄を表現した。美男と柊のカップリングを応援したくなる今後の展開に注目である。
(林田力)
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『美男ですね』玉森裕太とチャン・グンソクに日韓アイドルの差

TBS系の金曜ドラマ『美男ですね』の第2話「恋の初ライブ!!」が7月22日に放送された。『美男ですね』は人気韓国ドラマのリメイク版で、オリジナル版ではファン・テギョンを演じたチャン・グンソクを一躍アジアの大スターに押し上げた。そのグンソクの役に相当する桂木廉役の玉森裕太(Kis-My-Ft2)は、グンソクのカリスマとは別次元の日本的アイドルとして独自性を発揮した。
『美男ですね』は見習いシスターの桜庭美子(瀧本美織)が双子の兄・美男に代わってイケメン・バンドA.N.JELLの新メンバーになるラブコメディーである。主要登場人物であるA.N.JELLのメンバーが韓国オリジナル版の雰囲気を出していることも話題である。
カン・シヌに相当する藤城柊(藤ヶ谷太輔、Kis-My-Ft2)は優しいが、損な役回りの男性である。いち早く美男が女性であることに気付き、美男に惹かれるものの、想いを伝えられない。ジェルミに相当する本郷勇気(八乙女光、Hey! Say! JUMP)は元気なムードメーカーである。美男が女性であることに気付かない勇気は、美男に妙な感覚を覚える自分に動揺する。
難問はテギョンに相当する桂木廉(玉森裕太)である。テギョンには潔癖症で気難しく高慢という性格的な難があるが、それを含めてテギョンにはスターというカリスマがあり、圧倒的なオーラを放っていた。グンソクと同等の存在感を他の俳優に求めることは酷である。
これに対して桂木廉は子どもっぽさを付加することで日本版の独自性を出した。美子(オリジナル版ではコ・ミニョ)のドジに廉(テギョン)が巻き込まれてしまう点はオリジナル版も日本版も同じである。テギョンはミニョを「事故多発地帯」と酷評しながらも、それを心の底では楽しむような余裕があった。それ故にミニョに惹かれる展開が自然につながる。
これに対して廉は美子のドジに「絶対に許さない」「絶対に認めない」と本気で激怒する。これは美子に悪気がないことを知っている視聴者からは、廉の潔癖症と相まって器の小さい人物と受け止められる危険がある。
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より重要な点は、どれほど廉が怒り狂ったとしても、美子を許し、認める展開が控えていることである。「絶対に許さない」発言は偽りになり、廉は言葉が軽い人物になる。ミニョを酷評しつつも、全否定まではしなかったテギョンがカリスマとして一貫性を保ったのに対し、廉はスターとしては安っぽくなってしまう。
一方で第一印象が最悪というカップルは恋愛ドラマの王道的な展開である。本気で「許さない」とまで言った相手に惹かれる展開こそドラマになるとの見方もある。「許さない」発言も発言時の心情としては真実であり、その時その時の心情に正直な人物として好意的に評価する向きもあるかもしれない。過去を水に流す日本人と過去との一貫性を重視する韓国人の民族性の差が廉(テギョン)の描き方にも表れた。
完成された大スターのテギョンに対して、廉は事務所社長の安藤弘(高嶋政伸)に「ビッグになるには何か欠けている」と評される発展途上の存在である。それ故に美子を演じる瀧本美織が『てっぱん』のように明るく引っ張っていくという要素も生まれるが、ここにも日韓のアイドル事情が反映する。
韓国アイドルはデビューまでに事務所がレッスンを積ませ、デビュー時の完成度が高い。それが日本でもK-POPを席巻させる要因となった。これに対して日本ではファンがデビュー時からアイドルの成長を応援する傾向が強い。日本化された『美男ですね』が描くアイドル像に注目である。(林田力)

2012年5月25日 (金)

ビリーバット、アポロ計画の嘘に挑む

ビリーバットではアポロ計画の嘘に挑む。俄然面白くなってきた。もともと下山事件という戦後史の闇に切り込むことで注目されたビリーバットであったが、戦国時代の巻物争奪戦など話題が転々として失速した。やはり投げっぱなしは宜しくない。一貫性が必要である。
ケネディ大統領暗殺という有名な事件が描かれることで再浮上したが、パンチ不足は否めない。もともとケネディ暗殺は陰謀論では有名すぎるほど有名な話であり、陰謀を描いても、ありきたりになってしまう。ビリーバットでも主人公達の努力が何だったのかというほど公式見解通りの展開になる。
それに対してアポロ月面着陸の捏造も有名な話であるが、相対的には新鮮である。アポロ月面着陸は権力だけでなく、科学信奉者にも信者がいるために、その捏造の主張は大きな議論を起こしやすい。
ビリーバットでは月面着陸捏造の関係者に下山事件と接点のある人物が登場する。物語の最初の謎と繋がった形である。林田力

『てっぱん』に続き『美男ですね』でも明かりになった瀧本美織

TBS系の金曜ドラマ『美男ですね』(イケメンですね)が7月15日から放送を開始した。『美男ですね』は見習いシスターの主人公が双子の兄に扮して人気バンドA.N.JELLの新メンバーになる韓国の人気ドラマの日本リメイク版である。
ドジな女性が男性になりきるドタバタ劇と、イケメンに囲まれる胸キュンなラブコメディが韓国のみならずアジア中で大人気となった。その要素は日本版でも健在であるが、日本版では主演が明るく元気な瀧本美織に相応しく、主人公の桜庭美子がイケメンメンバーを引っ張る展開も見せた。
瀧本美織の明るさはオリジナル版の美子に相当するコ・ミニョ(パク・シネ)の空回りするドジっ娘というイメージには合っている。一方で修道院生活を送る世間知らずの内気な女性というミニョのイメージを壊す危険もある。この点でドラマでは孤児院生活の回想を挟むことで、美子のキャラクターを説明付けた。瀧本も男性の裸を見て硬直してしまうなど純な女性を演じている。
海外の人気ドラマのリメイクは伝統的な手法であるが、『美男ですね』の難しいところはオリジナルの視聴者が多い点である。直近ではオリジナル版が5月にフジテレビ系列で放送されたばかりである。オリジナルと同じではリメイクの意味がなく、オリジナルを壊せばオリジナルのファンから叩かれる。日本版は基本設定を踏襲するが、細部には独自設定を加えている。
たとえば倖田來未が歓迎パーティーに招待された芸能人として本人役で登場する。A.N.JELLの事務所社長・安藤弘(高嶋政伸)は「You」などジャニー喜多川のような話し方になっている。これはA.N.JELLのメンバーが桂木廉(玉森裕太、Kis-My-Ft2)、藤城柊(藤ヶ谷太輔、Kis-My-Ft2)、本郷勇気(八乙女光、Hey! Say! JUMP)とジャニーズのアイドルであることからの茶目っ気である。
そしてA.N.JELLのマネージャー馬淵始(柳沢慎吾)は原作以上にテンションが高い。桜庭美子(瀧本美織)に兄・美男の代役を頼む展開は強引である。その後も美子をメンバーの中に残して自分は帰ってしまうなど身勝手であった。オリジナルではマネージャーとコ・ミニョが協力していたが、日本版は美子任せの要素が強い。
そのために美子が一人で悩む展開が多くなり、かえって主人公の存在感が際立った。幼少期の美子と美男の孤児院生活が繰り返し回想され、歌手になるという兄の夢を実現させたいという美子の兄妹愛が強調される。
初回放送の後半は日本版独自のストーリーで、児童養護施設向けコンサートを実現するために美子が奮闘する。A.N.JELLは圧倒的な人気を誇るバンドという設定であるが、日本版ではビッグになるには何か欠けている発展途上の存在と位置付けられている。新メンバー追加もオリジナルではボーカルの喉の負担軽減が理由であったが、日本版は単なる成長路線になっている。
さらに日本版のA.N.JELLは悪意にも曝されている。インターネットでは悪口が書き込まれ、児童養護施設の園長(石坂浩二)からは敵意をむき出しにされる。オリジナルのキム記者に相当するパパラッチ記者は日本版では三人組に増強された。そのような悪条件下でも美子は努力を放棄せず、メンバーや周囲の心を動かすことになる。
主演の瀧本美織はNHK連続テレビ小説『てっぱん』の主人公・村上あかりを演じて、明るく元気な女の子というイメージを確立させた。『てっぱん』の村上あかりの名前には幸せをもたらす明かりであって欲しいという母親の願いが込められている。児童養護施設のエピソードでは美子の奮闘がバンドのメンバーに良い影響を及ぼした。受け身なだけでなく、A.N.JELLを成長させる明かりにもなった瀧本演じる美子に注目である。(林田力)
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東急不動産だまし売り裁判の温もり

東急不動産だまし売り裁判の温もり
東急不動産に売買代金の返還を命じる判決によって東急不動産だまし売り被害者の頬には温もりが戻りだし、血液が循環しはじめた。不利益事実を隠して新築マンションをだまし売りした東急リバブル東急不動産は冷酷無慈悲な殺し屋同然であった。見下げはてたゲスであった。消費者感覚から逸脱した東急リバブル東急不動産にはオズの魔法使いの台詞を贈呈する。ここはカンザスじゃないんだよ。
悪徳不動産営業は自らの威信を高められることであれば何であれ自慢し、吹聴することに多大すぎるほど多大な時間を費やしていた。消費者がカンカンに腹を立てている状況を高みの見物と決め込んでゲラゲラと大笑いするような輩であった。
東急リバブル東急不動産が道徳や倫理を屁とも思っていないことは分かりきっていた。しかし、それは東急不動産だまし売り被害者の林田力にとっては大事なものであった。東急不動産営業と話した後では新鮮な空気が必要であった。
粗末な備品、過酷な労働時間、サディストの上司、耐え難い圧力。どれもこれもが悪徳不動産業者の一部であった。悪徳不動産営業の仕事は激しいプレッシャーと激しいストレスそのものであった。再開発ビルのレストランの雰囲気は刑務所の食堂と大差なかった。
林田力『東急不動産だまし売り裁判こうして勝った』を読めば、マンションだまし売り業者の関係者は刑務所送りになるべきと確信できる。最高経営責任者も取締役も重役会義のメンバーも。とにかく全員である。一つの企業グループを丸々刑務所に入れることは非現実的であるが、マンションだまし売りに従事したことのある人間全員に限って例外を設けるべきである。

2012年5月24日 (木)

『アソシエイト』弁護士報酬の無意味さ

ジョン・グリシャム著、白石朗訳『アソシエイト 上下巻』(新潮文庫、2010年)はロースクール卒業生を主人公としたリーガルサスペンスである。グリシャムは弁護士や法律事務所をテーマとしたリーガルサスペンスの第一人者である。『アソシエイト』はグリシャムの作品では新しい部類に入る。スマートフォンやサブプライムローンという現代の世相を反映する。

主人公カイル・マカヴォイは冒頭からピンチに陥る。「起訴状といっても、金を強請りとるための手段にすぎない」という台詞がある(84頁)。民事紛争を有利に進めるために刑事手続きを悪用する輩がいる実態を明らかにする。これは日本でも対岸の火事ではない(林田力「アヴァンスの書類送検はモンスター弁護士への警鐘(下)」PJニュース2010年12月14日)。

上巻では「公費の無駄づかいを監視する市民グループは、有人シャトルによる火星探査計画であるかのように反対運動を繰り広げた」という表現がある(189頁)。宇宙開発が典型的な税金の無駄遣いと扱われて興味深い。「はやぶさ」やロケット打ち上げを国中で祝う雰囲気のある日本のナイーブさを印象付ける。何の戦略もないまま先端技術というだけで飛びつくことは昔からの日本人の悪癖である(林田力「宇宙開発の徹底的な事業仕分けを」PJニュース2010年5月30日)。

アメリカのリーガルサスペンスでは弁護士ばかりが肥大する訴訟社会の虚しさが描かれるが、時間単位の報酬請求など対価性を無視した弁護士報酬の仕組みが問題であることが分かる。依頼人にとって無意味な仕事で弁護士は報酬を請求する。投資対効果に厳格な米国企業が弁護士報酬を言い値で払うことは信じ難い。

訴訟社会に対して日本的な譲り合いや和の精神で対置する立場があるが、これには反対である。消費者や労働者のような弱い立場にいる人々にとっては権利が命綱になる。社会問題は人権をベースで闘うべきである(林田力「マンション建設反対運動は人権論で再構築を」PJニュース2011年6月17日)。東急不動産だまし売り裁判でも消費者契約法による取消という消費者の権利で対抗した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。

紛争において譲り合いや和の精神を強調することは、虐げられた人々が泣き寝入りを迫られる結果になる。強い立場が方針を変えることは容易ではない。弱い立場が我慢した方が社会のインパクトが少なくて済むからである。結局は焼け野原から経済大国にしてしまうような前に進むことしかできない発想を美徳という愚かな価値観を押し付けられて馬車馬のように働かされるだけである。

訴訟社会の問題は人々の権利意識が高すぎることによるものではなく、ハイエナ弁護士やモンスター弁護士の問題である。積極的に宣伝広告して費用の高い法律事務所に依頼しないなどが対策になる(林田力「宇都宮健児日弁連新会長の課題はモンスター弁護士の排除」PJニュース2010年3月27日)。

主人公カイルは必ずしも道徳的に正しい立場ではない。カイルの過去の行状や、それを隠蔽する隠蔽する姿勢には嫌悪感を覚える。それでもカイルを主人公足らしめている点は弁護士倫理を守ろうとしているところにある。日本には「弁護士は公正中立ではない」と最初からアンフェアであることを宣言する弁護士事務所も存在する(林田力「弁護士の粗末な交渉で泥沼相続紛争(中)」PJニュース2010年10月8日)。以下の弁護士倫理に露骨に反しており、嘆かわしい。
http://www12.atpages.jp/~hayariki/haya/4/19.htm
弁護士法第1条(弁護士の使命)「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」

弁護士職務基本規程第5条(信義誠実)「弁護士は、真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行うものとする。」

弁護士倫理規定第7条(真実の発見)「弁護士は、勝敗にとらわれて真実の発見をゆるがせにしてはならない。」

米国の訴訟社会は大きな問題であるとしても、むしろ日本は米国に学ぶことは多い。

2012年5月23日 (水)

太陽光発電の落とし穴

一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)は5月17日、日本国内の住宅用太陽光発電システムの設置件数が2012年4月末までに100万件を突破したことを発表した。福島第一原発事故によって自然エネルギーへの転換が大きく注目されている。その中でも身近で分かりやすい太陽光発電は取り組みやすい。それを裏付ける発表になったが、普及によって太陽光発電の問題も表面化しており、無条件で絶賛できない。

第一に発電環境の不安定さである。もともと太陽光発電は夜間や曇天では発電できないという不安定さを抱えているが、特に都市部では隣接地に超高層マンションが建設されて日陰になり、太陽光発電の投資が無駄になるリスクを抱えている(林田力「経済損失としての日照権侵害」PJニュース2010年4月12日)。

http://www.pjnews.net/news/794/20100411_2

それならば休耕地などの無人地帯が適しているかと言えば、電力消費地と離れた場所では太陽光発電のメリットが減少する。もともと不安定な太陽光発電のアドバンテージは電力消費地で発電できることにあった。

第二に太陽光発電装置のもたらす害である。太陽光を反射する太陽光パネルは近隣住民にとって光害にもなる。隣家の太陽光パネルの光害が受忍限度を超えるとして、横浜市内の住民が隣地の戸建て住宅の建て主と住宅会社を訴えた裁判も起きた。横浜地方裁判所は4月18日に屋根から太陽光発電パネルを撤去し、住民2人に計22万円を損害賠償として支払うよう命じた。

太陽光発電パネルの設置によって屋根が傷み、雨漏りの原因になる事例もある。また、2011年には中部地方の太陽光パネル付きで販売した分譲戸建て住宅で太陽光発電パネルからの落雪によって、自動車のワイパーと郵便受けが破損する事故も起きている。

第三に太陽光発電ビジネスのいかがわしさである。過去に太陽熱温水器を販売する朝日ソーラーは強引なセールスで社会問題になった。第二の太陽光発電装置のもたらす害については太陽光発電そのものではなく、欠陥施工の問題との反論が考えられる。まさに欠陥施工の問題であるが故に太陽光発電ブームに便乗して悪質リフォーム業者による粗悪な太陽光発電設置ビジネスが懸念される。伝統的に環境問題は悪徳業者の飯の種であった。詐欺をテーマにした漫画『クロサギ』には「ECO詐欺」という言葉も登場する。

より大きな視点に立っても太陽光発電ビジネスはいかがわしい。7月1日開始の固定価格買取制度によって太陽光発電の普及促進が予測されるが、これは電力料金の値上げに転嫁される。製造した分は決まった価格で買い取られるのであるから、ビジネスとして見れば虫のいい話である。しかも、価格は公的に定められるため、自然エネルギー促進派の政治力で左右される危険がある。
http://hayariki.net/3/55.htm
現実に自然エネルギー促進派からは「自然エネルギーの普及促進になる価格を設定するべき」と主張される。純粋に自然エネルギー促進の政策論として議論しているならば一つの見解であるが、自然エネルギーで金儲けしようとする人間が主張するならば我田引水になる。福島原発事故直後に孫正義が自然エネルギーを打ち出したものの、政商としてバッシングされた。買い取りを前提とするビジネスモデルである限り、政商批判は燻り続ける。

女の香り

『女の香り』は韓国ドラマ。『私の名前はキム・サムソン』の女優がヒロインを演じる。冴えない女性と大企業の御曹司のラブストーリーという枠組みは同じであるが、『女の香り』の方が深刻である。ヒロインが怒らせてしまう人物がムスリムであるなどドラマは社会の多様性を反映している。このようなところにも韓国が国際的な存在感のある理由が理解できる。
印象的なキャラクターにヒロインの恋敵役の財閥令嬢がいる。ヒロインを見下す嫌な役どころであるが、目大きくてが印象的で、ステレオタイプな心の貧しい金持ち像に収まらない。目が重要な要素であることを再確認した。林田力

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